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MDプリンターでのステッカー製作
MDプリンターは、顔料インクリボンを用紙に転写する際に印字ヘッドが接触する構造になっています。 ステッカーを作るにはメーカー推奨の用紙ではない生地を使用する必要があります。 こうした生地にプリントする場合、ホコリや温度などの条件を整えないと、いとも簡単に印字ヘッドの破損を招きますので、慎重に作業する必要があります。 
熱でインクリボンから用紙に転写するMDプリンター(以下MD)はインクジェット式(以下IJ)に対して多くの利点があります。

ただし、アルプスMDでカッティングシートなどの塩ビシート生地にプリントして、ヘルメットやスクリーンなどの曲面に良く馴染む、伸びの良いステッカーを自作しようとする場合、更に難易度が高くなります。 

このページの情報はアルプスのプリンターでビニール系生地へプリントする場合の注意点を指摘しています。 決して推奨しているワケではありません。 内容は参考程度に考えて、絶対に鵜呑みにしないで下さい。

MDの利点
プリントする用紙の自由度が高い 塩ビなどのビニールや布地など、IJでは不可能な生地へプリント可能。 しかも耐水性有り。
業務用機に匹敵する、耐候性の高いインク 家庭用プリンターでは稀な、カラー顔料インクを使用
多彩な印刷設定 CMYKで指定したカラーでプリントする事が可能な上に、色を乗せて行く順番を変える事も可能です。
特色の使用が可能 白をはじめ、インクジェットでは不可能な特色でのプリントが可能です。
乾燥時間が早い インクジェット機は業務用の油性でも完全乾燥に時間がかかります。 プリント自体は時間がかかりますが、熱で転写するMDには水分や溶剤の蒸発を待つ必要がないので、ラミネートをスグにかけることができます。
MDの欠点
プリントに時間がかかる 大量にプリントするのでなければ、気になりませんよね?
コスト高 大量にプリントしなければ、、、
機械の動作音が大きい。 大量に 以下略
実際にMDを所有している方なら、今更確認するまでもない常識だとは思いますけど。
自分がカッティングシートにプリントした時は何にも問題なんか出なかった! という方も多数いらっしゃると思います。
そういう方にとっては、このページの情報は必要ないと思いますので、貴重な時間を浪費する前に他の情報をお探しください。
 
家庭用アルプスMDと業務用MD機との比較
沖データ MICROLINE 7050c A3ノビサイズ対応のMD。 本体が¥20万超、専用RIPドライバーが¥3万程と金額的に個人の使用では、ちょっと考えてしまうとは思いますが、使い勝手もアルプスと殆ど同じです。 正式に発表されてるわけではないですが、アルプス用の用紙であれば、ほぼ問題無く使えるようです。

アルプスと同じく塩ビ・シートへのプリントはサポートされてません。 あくまで自己責任です。

RIPを使うことで、アルプスでは毎回ページ合成しなければいけないような複数の特色をプリントする場合などの設定が格段に楽になります。 アミ線の方向や密度の指定可能です。
ROLAND DG  PC−12 MDとカットマシンが一体になったことで、MDのプリント品質でズレの無いカットが可能になったPC−600の下位機種です。 咥えられる用紙幅は330mmまでなので、専用紙のロールか、カットした用紙を使う必要があります。 カットした用紙の場合、アルプスに比べて余白は多めです。 クロップマーク(カットマシンが位置を確認するための○印)を読むセンサーなどの位置との兼ね合いがあるようです。

プリントの際、ヘッドを用紙に押し当てる圧力や印字温度がアルプスより高目の設定になっていますので、専用紙以外を使うとプリント抜けや引きずりを起こすケースが多いようです。

塩ビシートにプリントした場合は、シンナー等の溶剤で拭いてもインクが溶けません。 この為、アルプスでは剥がれる危険が大きいフチまでプリントしてラミネートをかけるようなデザインも可能です。

定価は¥498,000と業務用としては、比較的安価です。 カットマシン部は刃圧も変更できる本格的なモノが搭載されてます。
ROLAND DG  PC−600 定価は¥100万強なので、個人が趣味で買うにはどうかという金額ですが、さすがに機能は至れり尽くせりです。 ウチもこれを使ってます。

リボンセーバー機能があり、空走での余分なリボンの消費を抑えます。

 ヘッドの走査位置が調整できるので、リボンの重なる位置の筋が目立つ場合に修正が効きます。

ヘッド位置の微調整が可能なので、用紙に合わせて細かくセッティングすることもできます。

インクリボンに通常のCMYKの他にオレンジやグリーン、赤、青なども設定があり、再現できる色種に幅があります。

アルプスMDの紙用インクに相当するワックスインクとビニール生地に強力に食い付くレジンインクが設定されています。(PC−12も同様) 
業務用機と比較すると、アルプス・MDプリンターの優れたコストパフォーマンスを実感します。
 



警  告
専用の用紙以外でのプリントはメーカーの設計外の行為である為、保証の対象外となる機械の破損等を招く可能性が充分あります。
万一、このサイトの情報に従って損害を被るような事態になったとしても、当方では一切関知するところではありません。
情報の取捨選択は自己責任でお願いします。

アルプスの欠点を補う
レイアウト リボンセーバー機能がないアルプスMDでは、プリントするデータが無い個所でもヘッドが空走する時にリボンを消費してしまいます。 これを踏まえて同色のプリントデータの位置を揃えたり、1ヶ所に集める必要があります。
スジに注意 リボンから転写していくMDの宿命で、リボンが重なる位置のスジが気になる場合があります。 プリントデータを作成する段階でスジが目立たない方向やデザインを考えて、レイアウトする必要があります。
用紙の選択 一般的に売られている塩ビシートであるカッティング・シート(中川ケミカルの登録商標です)をアルプスMDで使う場合、機械を破損する可能性が高くなるので注意して下さい。 これはシートの裏紙が滑りやすい素材なので、用紙送りローラーがズレて巻き込んだり、まくれた用紙がヘッドに巻き込まれてヘッドを破損する場合があります。

発売から年月が経っている機種は用紙送りのゴム部品の劣化が進んでる場合もあります。

最新(最終?)型のMD5500では送りの安定性は向上しているようですが、やはり家庭用機のために用紙をローラーに押しつける圧力が低めの設定なので、プリントがズレる場合は多々あります。

シート生地のハクリ紙(裏紙)が、すべり難いモノを選ぶ必要があります。
用紙の準備 巻き癖がついた用紙では巻き込む可能性があるので、任意の大きさに切り分けた用紙は平板などで長時間はさんだりして、癖を取り除いておく必要があります。

切った個所からノリが染み出してる場合があります。 ローラーに巻き込む原因になるので、プリント直前にカットします。 寸法と直角を正確にカットする必要があります。
色を乗せる順番 ページ合成機能を使います。 通常はCMYKの順に機械が自動的にプリントしていきますが、この順番を変えていくと色味が変化します。 例えば同じM100%、Y100%でも先にYをプリントすると色味に違いが出ます。 細かいことですが、こうした試行錯誤の積み重ねです。

白い生地でも、特色で白をのせてからプリントすると、発色や印字品質が向上します。 MFインクと同じ要領ですね。
ヘッド位置の調整 用紙の厚みで印字品質に差が出ます。 印字ヘッドの位置自体は調整できないので、細長く切った粘着シートをプラテンなど、ヘッドの下側になる個所に貼って用紙の高さを調整します。 スジが出た場合は、これである程度は調整可能になる場合もあります。

貼ったままにしておくと、粘着材がはみ出してきて故障の原因になります。 プリントが終わったらスグに剥がしましょう。

業務用機より印字圧力が低いので咥えられる用紙の種類には幅があります。
ソフトの調整 デフォルトの設定だとCMYで100%指定しても色が薄くプリントされる場合があります。 使用しているソフトが『イラストレーター』の場合はカラーマッチをカットして各色の指定をRGBで行う事でベタのプリントが100%で行われるようになります。 但し、このセッティングにすると、普通の写真や画像のプリントで色域が狂うので、できればステッカー専用にセットしたほうが良いです。
色の調整 色を濃くしたい場合に、混色だけでなくページ合成で同じ色を重ねる事で色味を変える事もできます。


自作の限界
ここまで、解説して申し訳ないのですが塩ビ・シートで作る場合、一つ大きな問題があります。 表面保護にラミネートフィルムを貼る必要があるのですが、塩ビでUVカット効果のあるシートを切り売りしている業者は、自分の知っている限りでは在りません。

PCショップで売られている生地だと、屋外用と表示してあっても激しい使用では、やはり剥げてしまう場合がよくあります。 PC−12用のサプライ品でWAXインク用と表示してあるPET生地であれば、MDでも大体は使用可能です。 粘着力も比較的強く、業務用機並の品質でのステッカー自作が可能です。 勿論、用紙をMDに合わせてカットする必要はあります。 同じPET素材なので、ラミネートはPCショップなんかで普通に手に入るモノが使えます。

PET素材にMDでプリントして、ラミネート無しで屋外で使った場合1年も経つとプリントしたインクが剥がれ落ちます。

使っているラミネートフィルムの種類に関しての質問や切り売りに関しての問いあわせもよく頂きます。 基本的にラミネートはリンテック社の最高グレードのモノを使用しています。 塩ビではG−015という品番です。 これは通常品より更に柔軟性が高いため、PCショップで買えるPET素材のラミネートとは扱い方が異なり、上手に貼ることが非常に難しいのと、梱包に手間がかかる為、案外高くなってしまうので、切り売りはお断りさせて頂いてます。

材質がPETのラミネートを塩ビにプリントしたモノに使うと、長期の使用での塩ビシートとの収縮率に差があるために、プリントしたシート生地とラミネートにズレが生じます。 カッティングシートでも透明はありますがUVカットの効果はありません。

プリント前にアルコールなんかでシートの表面をキレイにするのは当たりまえの作業です。 油分や指紋なんかが付いてると、色が乗りません。 又、ビニール系の素材は静電気を帯びやすい為、特に空気の乾燥する冬季には特にチリやホコリには気を使います。

現在、ウチでは上記のように調整・改造したアルプスではサンプルの製作などでの試験打ちや試作品のマーキング用ラベルなどに使用してます。 MD5500では3Mの塩ビ・シート用に用紙をローラーに押し当てるガイドの裏のスプリングを強いものに変えて左右に1本ずつ入れてます。 工場出荷状態では片側にしかスプリングが入ってません(スプリングの取りつけガイドは左右にある) ただし、これをやると、普通紙でプリントする場合での用紙送りの精度が悪化する場合もあるようです。

以前、アルプスに問い合わせしたのですが、スプリングが片方にしか入ってないのは仕様なので、通常の使用では全く問題は無いとのことです。 まあ、ウチの使い方は多少、常軌を逸してるとは思いますので、参考になりそうな個所をつまんで下さい。

元々は 『最高のステッカーを自分の手で作ってみたい』 という、くだらない思いつきいから始まっています。 自分でモノを作るっていう事の楽しさ(辛さ)を存分に満喫させてくれるアルプスのMDプリンターは、工夫次第で様々な用途に使える可能性を秘めた良く出来た道具だと思います。

総 論
アルプスMDで業務用機に匹敵する特性は、インクの耐候性と印字の細かさという事になります。 業務用の材料の入手はロール売りになってしまう事や、ラミネートかけるのに手間がかかるので、手軽にステッカーを作ってみたいヒトには不向きですよね。 屋内での使用に限定するならインクジェットの用紙も良いのがPCショップで手に入るのでMDの優位性は薄れます。 IJにも耐水性の用紙があるので、短期屋外での使用も可能です。 ラミネートかけないと水で滲みますが。

不明な点等についてはメールしてもらえれば、解る範囲でお答えします。 ⇒ jkdp@toys.co.jp
 
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